チョコレート箱 【完】





「……あのとき、皆に配ってたじゃん」

「あー、最初はそうだったなぁー……」


そう。

あれは、トモに本命チョコを渡そうとする前の年。

初めてバレンタインにチョコレートをあげるとき、皆に配ったんだ。


でも、ボロボロのチョコレートを見た皆は要らないって返して来て。

子供が愛想笑いして「ありがと~」って言って来てたらビックリだけど。

その素直な「要らない」って言葉に、なんだか泣いちゃって。



「泣いた時、トモが私の近くにあったチョコも、自分がもらったチョコも。無言で平らげちゃった」

「……そうだっけ。覚えてねぇ」


嘘。

だって、トモ……無意識に耳を触ってる。


それ、トモの照れてる時の癖だよ。



「素直じゃないね、あいかわらず」

「うっさい」


素直じゃない返事に、笑ってしまう。