「あのね、あれ…」



ねずみさんが指さす所には、木に引っかかっている赤い風船があります。

いじわるうさぎの得意技は、にんじんを盗み、高くジャンプしながら逃げること。

ですが…。



「………待っててね」



いじわるうさぎは、風船に向かって高くジャン プしました。

風船のヒモを手につかんで、



「はい、ねずみさん」

「ありがとう!うさぎさん!」



すると、さっきまで泣いていたねずみさんは、あっという間に笑顔になります。

いじわるうさぎは、思いました。



(笑顔になってもらうのが、優しいってことなのかな?)