それから、ミュゼフという人物がどうなったのか陣たちには解らないが、上屋 宗平についてはあっけなくと言っていいほど穏便に事が運んだ。
穏便にというのは表向きの話で、実際は向こう側の恐怖は計り知れないようだ。
御剣財閥を敵に回した事への恐怖心とは別にプラス、ベリルの存在も大いに関係してるらしい。
「潰し屋──?」
絵理とのデートに邸宅に立ち寄った青司は、陣から聞いた言葉に眉をひそめた。
「ああ、その筋には割と有名なんだってさ」
御剣財閥が調べたベリルの経歴が書かれた紙を青司に手渡す。
「麻薬組織やら、こないだの奴みたいなのを潰して回ってるんだとか」
「……暇人か」
「そういう訳でもないみたいだよ」
人気取りやら平和貢献やらでベリルにはスポンサーが何人かついていて、その資金を元手に動いているらしい。