放課後、亮介の家へ向かった。

今日も早退した亮介。

クリスマスくらい一緒に帰ると思ってたけど、もう気にならない。



「なっち!」

玄関を開けた途端に飛び付いてきた亮介。

こんなの久しぶりだし、突然だから驚いて、少しバランスを崩す。

「メリークリスマース!」

菜摘から少し離れてニッコリと微笑んだ。

「どしたの?なんでそんなにハイテンションなの?」

「クリスマスだから!なっち、行こ!」

─『なっち』─

そう呼ばれたのは何ヶ月ぶりだろうか。

手を引かれ、足早に階段を登る。

こんなに可愛く笑う亮介を見るのは本当に久しぶりで、ホッとする反面、少し戸惑っていた。

『裏があるんじゃないか』と考えてしまう。



菜摘の不安とは裏腹に、亮介は変わらず優しかった。

近所のケーキ屋さんでケーキを2つ買い、亮介の部屋で乾杯して、ケーキを頬張った。

亮介とのこんなに楽しい時間は本当に久しぶりで、純粋に楽しくてずっと笑っていた。

─この、たった数時間だけは。