家に着いたのは23時過ぎ。

お風呂から上がると、携帯のランプが光っている。

《不在着信1件:新着メール1件》

メールは大ちゃんから。

《誕生日おめでと!》

メールくれるなんて思わなかった。

覚えててくれたんだ。



─『菜摘は宝物だよ』─

あの台詞を思い出すと、少し胸が苦しくなる。

保護してから返信し、不在着信を見ると亮介からだった。

ベッドに寝転がって掛け直そうとした瞬間、画面に『亮介』の文字が表示された。

「はーい」

【ごめん、寝てた?】

「ううん、さっき帰ってきてお風呂入ってた。どしたの?」

いつもは電話は9時くらいだから、こんな時間にくるのは珍しい。

それに、電話だからよくわからないけど

亮介は少し緊張してるみたいだ。

【あの…さ…】

「うん、なに?」

【あの…】

なかなか切り出さない亮介がじれったい。

用があるならハッキリ言ってほしい。

「なに?」

部屋の電気を消すと、亮介は小さく呟いた。



【俺と付き合ってほしいんですけど…】