杏花を寝室のベッドへ横たわらせ、


俺は清潔にした手にクリームを乗せて。


いつものように足先から徐々に上へと。


マタニティライフの本で知った『妊娠線』


急に伸びた皮膚が断裂を起こしてなるものらしい。


保湿と体重管理で回避が出来るという。


―――――だって……。


妊娠線は1度出来たら、


薄くはなるものの、一生消えないらしい。


そんな事、この俺が許すワケがない。


色白でシルクのような滑らかな肌に


幾ら我が子の為とは言え、


キズ1つ残させるワケにはいかない。


今まで日中に自分で塗って、


手の届かない所は村岡が塗ってくれたらしいけど


その事実を知った今、その係は俺がするべき!


自分の手で最善を尽くし、


それで出来たとしたら、仕方がない。


俺の役不足なワケだから。


俺はゆっくりと、それでいてたっぷりと


杏花の玉の肌に手を滑らせて…。