「あ、いえ、あの……宮園芽衣さんに、これを渡しに来ただけで……」 その声に、私は階段を踏み外す。 ―― ドスッ ……ラスト1段で踏み外すとか。 でも、これが動揺せずにいられますかっ! この声、聞き間違えるはずがない。 音をたてて階段から落ちた私を凝視する、その人――…… 「……颯太君」 「み、宮園……っ!?」 いきなり登場してきた私に、目を見開く颯太君……と、お母さん。