見覚えのある1本の傘。 朝に見た、颯太君が差していた傘。 笑顔で駆け寄ろうと走り出す。 「……あ、れ…?」 傘の中に居る人を見て、私の笑顔が強張ったのを感じる。 ……颯太君が居るのに。 目の前なのに。 1本の傘を差してる2人を見て、動けなくなる。 「……河本…さ、ん」 ―― ズキッ