―― ピィィ――――――ッ 試合終了のホイッスル。 私が居るコートの方から、試合を終えた人たちが歩いて来た。 「あっ、終わったみたいですね」 「え? あっ、うん。みたいだね」 ……苦しい。河本さんを見れない。 笛の音で聞こえなかったけど、口はこう動いていた。 『なんだ、よかった』って。 その時の笑顔が、今でも鮮明に浮かび上がる。 安心したような、でも寂しそうな顔。