午前十時過ぎ、まずは真理子が起きて来た。


『真理子おはよう』


朝の苦手な美緒が笑顔で挨拶をする。


「美緒、帰って来てたんだ。
どうしたのよ、いきなり出かけちゃって」


早速、恐れていた話が…。


『真理子、コーヒー飲むよね』


美緒は答えることもなく、コーヒーを入れる


『はい、どうぞ。あっ、朝ごはん作ったよ。
涼子が起きたら食べよう』


長い付き合いの真理子には分かる。


美緒はきっと、出かけた時の話をしたくないのだと。


「ありがとう。美緒もしかして寝てないの。
目の下にくま出来てるよ」


永嶋のことは言えなかった…。



真理子が起きた時間と同じ頃、永嶋も目を覚ました。


ベッドの中で天井を見つめ、自分の失態を思い出していた。