この頃、永嶋は眠れずに、ある人の写真を見つめていた。


「俺は…、最低の男だよな…。
俺は美緒を裏切ってる、また傷つける…。
分かってるんだ。でも俺は…」


永嶋は一人でいると、いつもこの写真を見つめ、後悔ばかりしている…。


誰も知らない、永嶋の本当の姿…。


「美緒はあの男のことが好きなのか…。
その方がいいのかも知れないな…。
そうすれば、美緒は幸せになれる…。
俺は女を不幸にするんだ。
だからお前はあんなことに…。
俺のせいだ、俺が…、俺が…」


永嶋は写真を抱きしめ、涙を流す…。


「ごめんな…、ごめんな…、ごめんな…」


永嶋は何度も何度も謝る…。




永嶋が心のずっと奥にしまい込んで来た、深い、深い悲しみと過去が、
美緒を苦しめることになるとは…。