鍵を開け、美緒の部屋の中に入る。


「美緒さん家に着きましたよ」


美緒を支えながら。高倉は寝室に行く。


ベッドに美緒を寝かせる。


「美緒さん、それじゃ俺は帰ります」


高倉はそう言って、ベッドを離れようとした時、美緒が手を掴んだ。


『ごめんなさい…、ごめんなさい…。
私を許して…、許して…』


美緒は寝言でそんなことを言った。


高倉は美緒の手を握った。


すると、美緒の頬に涙が流れていた。


「美緒さん…、一人で苦しまないで下さい
俺が美緒さんのそばに居ますから…」


高倉は頬の涙を優しくぬぐい、強く手を握った。


目の前で眠っている美緒を見つめる…。


初めて美緒に出逢った日…、合コンで怒鳴られたこと、
そして、バレンタインデーの日にも怒鳴られたことを思い出していた。