「もし、私が春陽さんの担当医になってしまったら彼女の頭を切断する事になってしまいます」
「……っ!」
刺激が強い話だろうが、ここは聞いてもらうしかない。
「前回は鼻の穴から腫瘍を取り除く手術を行えたそうですが、今回は場所が悪くそういきません。…まぁ、コレは担当医の先生から詳しく聞いて下さい」
「そ、…んな………」
「話を戻しますが、私はとてもじゃないですが自分の好きな人にメスを入れるなんて無理です。
――俺は臆病ですから」
俺は、確かに脳神経外科だったなら、春陽ともっと時間を作れただろう。
検査の度に顔を合わせる事だって。
だけどソレ以上に、春陽を自分が傷つける事は出来ない。
たとえそれが彼女を救うためだとしても。


