「…俺は、春が好きだ。本当に好きなんだ…春に比べたら、俺、学校の奴なんてどうでもいいんだ…」
「でも…」
「…俺のダメな部分、本当は分かってる。春を支えたいとか思ってるくせにいざ春が手術したり苦しんでる姿を見たらどうしても足がすくんで…恐いんだ」
「龍…」
私を抱きしめる龍の手は、震えていた。
そして私を少し強く抱きしめる。
「情けないよな…だから、春が病院に運ばれた日、春のお父さんに彼氏かって聞かれたけど…そうだって言えなかった…」
あぁ…私は龍になんて酷い事を考えてしまっていたんだろう。
龍は最初から、同情も哀れみも私に向けた事なんてないじゃんか。
それなのに龍にこんな顔をさせて…また私は愚かな事ばかりを繰り返して…自分で自分が嫌になる。
「…俺、もっと強い奴になれるよう頑張るから…春に頼ってもらえるような男になるから…だから、別れないでくれ」
頼む、と掠れるような声で龍は何度も何度も呟いた。
私は途端に胸が締め付けられる。本当は甘えてはいけないのに。そんなの分かっているはずなのに。それでもやっぱり愚かな私は
「…ありがとう」
龍に応えて抱きしめ返し、また甘い糸に縋ってしまった。


