たった一つのお願い



それから数日後。
私は一般の元の入院部屋に戻され、普通に話せるようになっていた。まだ痺れとか痛みとか吐き気はあるけれど、麻酔が切れた直後よりは数倍マシだ。

お父さんは相変わらずの仕事三昧。


…本当に胸が痛い。私はどれほどお父さんに負担をかけてしまうのだろう。



でも、こんな事考えても仕方ないんだ。
今の私にできる事は早く病気を治して退院する事しかない。



そして私にはもう1つする事がある。






「春、起きてるか?」





龍の事だ。





「今日はオレンジジュース買って来たんだけど…飲むか?」





龍はやはりいつもと変わらない。優しい温かな笑みを私に向けてくれる。


でも、変わらないから逆に恐い。私は龍が何を思って私にこうして接してくれるのか分からないんだ。





「…春?どうしたんだ?」






きっと龍は優しいから、私が哀れで可愛そうで同情して接してくれているだけだ。


期待なんてしちゃ、ダメなんだ。



だから、





「…龍、別れよう」