たった一つのお願い



すると、春陽はやはり斜め下に目をそらす。




「――――私は、理央の負担になるのが辛い…」



「は?」




負担、だと…?




「俺がいつ、どこでそんな事を言った?」




すると春陽は俺の剣幕に負けたのか、ポツリポツリと、固く結んだ唇を緩めて語り始める。





「――――だって、理央は私と旅行に来てため息ばかり吐いてるから…」



「あ…」





確かにそうかもしれない。風呂上りの時も、土産の時も、俺はため息を吐いていた…気がする。ほとんど無意識な行動なのでうろ覚えだが…指摘されれば思い当たる事はある。
だけどそれは春陽との旅行が楽しくないとか、負担だとか、そういった感情は全くない。

だけど、この今の俺の感情を伝えるには一体どうしたら良いのだろうか?


何て言えば、この感情がうまく言葉に言い表せるのだろうか?



――――的確に表現できる言葉が、全く頭に浮かばない。



春陽のこんな表情を前にして俺は頭が真っ白になっていた。