たった一つのお願い



しかし、祐司のおかげだとは決して思いたくないが、今日の彼女は手紙だの折り鶴だのを書いたり作ったりする気配がまるでなかった。




「...今日は手紙とか書かないのか?」




不思議に思った俺は彼女に尋ねることにした。
彼女の性格上、俺が拗ねたぐらいで自分の行動を中断するとは思えない。
俺が嫌だから止めろと強要しない限りは続けているはずだ。
彼女は俺の嫌がることや困ることは絶対しない。だから、彼女は俺に気遣う事はしない。
おねだりや文句を言わないのは彼女の性格であって気遣いではないのだと最近気づいた。




「うん。一段落ついたし。それに...最近理央の顔きちんと見てないなーと思って」


「...そこはキスしてないなーの間違いだろう?」


「なっ......キ、キスって......んっ......」




減らず口をたたく前に塞いでやった。

久しぶりの感触に少し溺れる。
春陽は呼吸がキツくなってきたのか、俺の背中をドンドンと叩く。
それを合図に少し離してやる事にした。