それによく考えてみると思い当たる節は幾つかあった。 例えば俺が受け持つ患者さんの様子を見に行く時だ。 「先生のおかげで最近は調子が良いんです」 ニコリと優しい目尻の皺を作りながら笑う彼女は添田美代子(ソエダミヨコ)さん。彼女はつい最近に手術を終えたばかりだ。 旦那様が先に亡くなり、今は孫と一緒に暮らしていると言う。 「そうですか。それは良かったです」 「先生は、まだお若いのに凄いですねぇ」 「ハハ…そんなに褒めても何も出ませんよ」 俺は少し屈み、彼女の視線に合わせて言った。