俺は一つ溜め息を零しながら、常備してある常温の水を少し飲んだ。




「春陽のお父さんも飲みますか?」




俺は彼にペットボトルと新しい紙コップを差し出す。




「いや…私は大丈夫。ありがとう」




「春陽は?」




俺はベッドの上で座っている彼女に尋ねた。

…まぁ、水や紙コップは彼女が準備したから俺が尋ねるのもおかしいのだが。




「理央が使った紙コップで良いよ」



「へぇー…俺と間接キスしたかったのか?」



「ち、違っ…!
私はただ紙コップが勿体無いから!……残りも少ないし……」




彼女は顔を真っ赤にして俯いてしまった。


せっかく人が我慢してやっていると言うのに。
何故彼女はこうも俺の的を毎回射止めてくるのだろうか?