「おはよう、理央」 結局俺は一睡もせず、朝を迎えた。 しかし彼女が起き上がったのは、俺が手を握っている間ではなく、トイレのために席を外した間だった。 俺が春陽の病室に入ると明るい笑顔で彼女が迎えてくれた。 「おはよう春陽」 「目覚めた時に理央が居るなんて不思議な気分…」 そう言ってふふっ…とまた笑った。 不安なはずなのに。 どうしてこうも彼女は明るいんだろうか? 「俺もだよ」 だから俺もそれに甘えてついつい笑みをこぼしながら答えてしまう。本当、阿呆だ。