――――はずなのに、だ。
「三神先生、ずっと携帯電話を気になさってるようですけど、春陽ちゃんとケンカでもしたんですか?」
「……………」
基本、館内は携帯電話禁止だ。特に循環器系は、ペースメーカーを付けている患者さんが多いので常に電源を切っておかなければならない。
使用が許可されているのは、診察室の奥と、休憩所の携帯電話使用スペースの限られた一角だけだ。
俺が電源を切っているにも関わらず何度もチェックしているから不思議に思って彼女は俺に尋ねてきたのだろう。
…しかもなかなか鋭い。
思わずこの俺が何も言葉を返せなかった。
そう考える間にも携帯を一度確認してしまう。
だ か ら、俺は何をやってるんだ。
あちらに非があるのに何故俺が気にしないといけないんだ。


