たった一つのお願い



早く仕事に戻らないと…




「ちょっと来い」




今日は何故か抵抗する力も出ない。


連れられたのは仮眠室だった。俺達以外に誰も人は居ない。
俺は腕を引っ張られてベッドに腰掛けさせられ、祐司もドカッと横に座った。




「春ちゃんに振られたのか?」




祐司は俺のポケットをチラリと見ながら言った。
…あぁ、紙が少しだけ出てしまっている。それを見てそう言ったのか。相変わらず聡い奴だ。




「……違う」



「だったらどうした?」




祐司も暇じゃないだろうのに。……お人好しだな、コイツは。