たった一つのお願い



受け止める、だなんて。


俺は分かっている。
しかも医者だ。


春陽が病気で余命5ヶ月だという事も知っている。



……くそっ…



それなのに。
たったコレだけを思考するだけなのに。



何故こんなにも心が痛い?


まるで鋭く尖った何かに突き刺されたみたいだ。



息が苦しい。




「……おい、理央。大丈夫か!?」




顔を上げて目の前を見ると何故か祐司の顔がそこにはあった。



俺はいつの間に五階へ来てしまったんだ?