たった一つのお願い



俺は“恐い”だなんて感情をあまり抱いた事がない。


幽霊はただの非科学的存在であるし、ホラー映画だって言ってしまえば人間が創造した作り話だ。
本当の霊体験だなんてのもあるが…当事者ではないので今イチピンとこない。




「先生の様子見てたら春陽ちゃんとの状況よく分かります」



「ハハ……」




もう笑うしか出来ない。


いつの間に俺は作り笑いが下手になったんだ?

それとも春陽に関する事だから?


きっと後者だな。
俺は一体どこまで春陽に溺れれば気が済むのだろう?



春陽はこんな俺、きっと知らないだろう。


知ったら…どんな顔をされてしまうだろうか?