たった一つのお願い



「三神先生、今日はいつにも増して機嫌が良いですね。何かありました?」




……俺ってそんなに分かりやすいタイプだったか?


だが、看護師にこの手の話題を言えば俺がプロポーズと名の付くものを春陽にする前に噂が広まり春陽の耳に入ってしまいそうだ。
それは是非とも避けたい。




「気のせいですよ」



「でも先生、ずっとにやけてますよ?」



「……………まさか」




俺はいつからこんなにも嘘が下手になってしまったのだろうか。




「昨日春陽ちゃんの所へ行かれなかったと聞いたのでケンカしたのかと思いましたけど、その様子だと違うみたいですね」




本当に看護師の噂は恐い。
俺にここまで思わせたのは初めてだ。