たった一つのお願い



兄とは仲良くも悪くもないから、あまりよくは覚えていないが…比べられた事は覚えている。


性格、勉学、スポーツ。


何に関しても兄は俺よりいつも上だった。



話しかけたら、仏頂面ではなく明るい笑顔が返ってくる。
テストを受けさせれば、丸しかない解答。
運動すると、スポーツテストでは優秀賞の表彰状。



『爽一みたいに頑張りなさい』




周りから幾度言われた事か。


別に俺は周りからのプレッシャーで押し潰されたり、人一倍頑張ろうというような純粋な子供ではなく、ひねくれていたので、自分のやりたいようにやった。それだけだ。


そして慣れ果てがコレ。


もう少し頑張れば違った何かになっていたかもしれないが、俺は満足している。
それに春陽に気づかされた。



俺はこの仕事が好きだ。


春陽に逢えた事は勿論そうだが、それ以外でも。


俺は今ならハッキリとそう言える。