たった一つのお願い



それはあっという間の一瞬で。


触れたかと思ったらすぐに離れてしまった。




「不服だ」



「時間指定はなかった!」



「もう一回」




俺は春陽をじっと見つめる。




「一回で終わりです」




全然効かなかったが。



しかし、耳を真っ赤にしている彼女もまた愛しくて。俺は後ろから抱きしめる事にした。



細い体。



最近キスばかりで気づかなかったが、当初と違ってこんなにも彼女が痩せているとは思わなかった。



確かに俺達の時間は少しずつ進んでいる。



この時改めて実感させられ、改めて気づかされた。


俺は彼女の体を苦しくない程度に少し強く抱きしめた。