いつでも止まってる車に違和感を覚えながら車の中に入る、激しい呼吸の音がして亮太がダッシュした事が解った。




……お疲れ様です。



そんな事を言いたくなりながら笑いを堪えた。



「倉庫まで」


「、はい…」



一呼吸置いて返事する亮太に気づいたのか、尚と陽の頬も震えて引き攣っていた。








……倉庫には思っていた以上に人が居てビックリした。




まぁ、その大半は私達とは違う学校の子達。




「……あっ琉稀さん、皆さん!」



倉庫に入った時に、走り寄ってきた小さな影。





『……久騾』



そう、チワワの久騾だった。




「早いですね!」



そう言って私の幻覚であろう久騾の尻尾をブンブン振る。



久騾はここに1番近い高校の学ランを着ている。



着崩してるけど。



「紘は居ないんですか?」




「今日はお休み~」



「そうなんですか、メアド聞いておけばよかったなぁ」




久騾に視線を投げかけると、久騾は笑って「紘と仲良いんすよ」と言った。




……へぇ、何か…巣立ちした子供を見守る親の気分。





『紘、笑う?』




その言葉にビクリと異常な反応をする質問をなげかけられた訳じゃない幹部。



「はい、笑いますよ!


笑顔が無邪気ッすね、紘!」





『…可愛いでしょ』



「顔が顔何で…」



まぁ、紘はかっこいい系だからな。


…いやいや、可愛いと言うのは違うだろ。




『……ま、いいや』




「ん?何ですか?」


『……何も。』



「琉稀ぃ~上行こ~」



尚が強請るみたいに私の腕をくんくんと引っ張る。



仕草が可愛らしく、頭を撫でて久騾に『じゃぁね』と言葉を残して上に行った。





「あった…」




透璃はソファに転がっている黒のスライド式の携帯を手に取った。




「よかったね、ここじゃないとこで落としてたんじゃなくて」



「うん……」



透璃は満足気に微笑んでソファに座った。




指定席に皆が座り、それぞれの事をする。



尚はゲームしてるし陽は煙草吸ってるし恭輔はパソコンしてるし透璃は寝てるし、來哉はぼーっとしてる。




……何だこいつ等。




と、今更ながらに思う。





けれど、雰囲気は温かくてなぜか居心地がいい場所。




藍城も一緒。



上下関係の緊張感を除けば温かくて心が安らぐ場所だ。





何かと似ている獣帝に、余程心を寄せているんだろう。



自分でも呆れる。







でも、



もう少し居たい、と言う心は止まる事を知らない。