「2人での新幹線、初めてじゃない?」
私の言葉に、髪を赤色にした美穂ちゃんは笑った。
「お前、私が大阪誘った時モデルのオーディションか何かで断ってきたもんなぁ。」
懐かしい話どころか黒歴史を持ち出され、思わず顔を覆って「わー!わー!」と大声を上げてしまった。
そんな私の頭を両親は大きく叩き、美穂ちゃんに愛想笑いを浮かべた。
美穂ちゃんと同じ美容室で、私も髪をオレンジに染めてみた。最初は卒倒しそうな程面食らっていた両親も、そのうち慣れたらしい。
旅立ちの今日まで、散々ヤンキーと馬鹿にされた。
「気を付けて行ってこいよ。」
美穂ちゃんのお父さんが言った。
「辛くなったらすぐに帰って来なさい。」
私の父親が言った。
私と美穂ちゃんは顔を見合わせて、それから父親たちを見て笑った。
ホームに滑り込んできた新幹線に、私たちは軽い気持ちで飛び乗った。
私たちの両親は名残惜しそうに此方を見ていたけれど、彼らの顔をまともに見ないまま、座席へと座る。
「同室だって。部屋、ロリィタっぽく改造しちゃおうよ。」
私が言うと、美穂ちゃんは「ぉぇ」と顔を顰めた。
「そんなことしたら、私は別の部屋に移動するからな。」
そんな会話をしているうちに、新幹線は動き出す。
私たちは慌ててカーテンを上げて窓の外の両親を見た。
彼らはずっと私たちの方を見ていたらしい。
涙ながらに手を振られてしまい、思わず笑ってしまった。
手を振り返しているうちに、窓の外は田んぼへと変わっていった。
静岡を過ぎる頃に、メールが来た。
画面に浮かび上がる「川原」という文字に、思わず窓の外を見てしまった。
「何ー、彼氏?」
美穂ちゃんに手元をのぞき込まれ、私は慌ててケータイを閉じた。
「お前、私一筋なんじゃなかったっけ?
浮気か?浮気だろー」
ふざけた調子で言われ、私は思わず笑ってしまう。
美穂ちゃんの肩に手を回し、「俺には美穂だけだよ」と囁くと、勢いよく頭を叩かれた。
ケータイを開き直し、メールを読む。
「行ってらっしゃい」という一言だけのメールに、「行ってきます」とだけ返した。
離れていても気持ちは変わらない、そう言ってくれた彼の言葉を信じてみたいと思った。
私の言葉に、髪を赤色にした美穂ちゃんは笑った。
「お前、私が大阪誘った時モデルのオーディションか何かで断ってきたもんなぁ。」
懐かしい話どころか黒歴史を持ち出され、思わず顔を覆って「わー!わー!」と大声を上げてしまった。
そんな私の頭を両親は大きく叩き、美穂ちゃんに愛想笑いを浮かべた。
美穂ちゃんと同じ美容室で、私も髪をオレンジに染めてみた。最初は卒倒しそうな程面食らっていた両親も、そのうち慣れたらしい。
旅立ちの今日まで、散々ヤンキーと馬鹿にされた。
「気を付けて行ってこいよ。」
美穂ちゃんのお父さんが言った。
「辛くなったらすぐに帰って来なさい。」
私の父親が言った。
私と美穂ちゃんは顔を見合わせて、それから父親たちを見て笑った。
ホームに滑り込んできた新幹線に、私たちは軽い気持ちで飛び乗った。
私たちの両親は名残惜しそうに此方を見ていたけれど、彼らの顔をまともに見ないまま、座席へと座る。
「同室だって。部屋、ロリィタっぽく改造しちゃおうよ。」
私が言うと、美穂ちゃんは「ぉぇ」と顔を顰めた。
「そんなことしたら、私は別の部屋に移動するからな。」
そんな会話をしているうちに、新幹線は動き出す。
私たちは慌ててカーテンを上げて窓の外の両親を見た。
彼らはずっと私たちの方を見ていたらしい。
涙ながらに手を振られてしまい、思わず笑ってしまった。
手を振り返しているうちに、窓の外は田んぼへと変わっていった。
静岡を過ぎる頃に、メールが来た。
画面に浮かび上がる「川原」という文字に、思わず窓の外を見てしまった。
「何ー、彼氏?」
美穂ちゃんに手元をのぞき込まれ、私は慌ててケータイを閉じた。
「お前、私一筋なんじゃなかったっけ?
浮気か?浮気だろー」
ふざけた調子で言われ、私は思わず笑ってしまう。
美穂ちゃんの肩に手を回し、「俺には美穂だけだよ」と囁くと、勢いよく頭を叩かれた。
ケータイを開き直し、メールを読む。
「行ってらっしゃい」という一言だけのメールに、「行ってきます」とだけ返した。
離れていても気持ちは変わらない、そう言ってくれた彼の言葉を信じてみたいと思った。


