「…ははっ、嫌われたかな?」
目を背けられたその人は、しかし大して気にする様子も無く、道端で小銭を見付けたかのノリで呟きました。
「まぁいいや♪…それより、俺の紹介がまだだったよね?俺の名前は『ルイ』。よろしくね、かわいい仔猫ちゃん」
すらすらと、まるで最初から言う言葉が決められていたようにその人は話します。
「…『ルイ』…?」
麗奈は男の名前を反芻すると、何処か腑に落ちない顔で先程わたしが付けた名前を名乗りました。
「ん、麗奈ちゃんだね、了解♪……隣の仔猫ちゃんはなんて言うのかな?」
「…あ、わ、わたしは麗菓。………麗菓と申します。」
ふたりのやり取りをただ聞いているだけだった私は、男(ルイさん…ですよね)の声で我に返りました。
「麗菓ちゃん…と、ん、把握」
ルイさんはわざとらしく頷き、再び私達を見比べます。
「それにしても、今日はほんとにツイてるなぁ!!」
なにがツイてるのかはわからないけれど、ルイさんは心底嬉しそうに笑いわたし達へと更に近付き、ついには目と鼻の先まで近付いてきました。
「………じゃあ、行こうか?」
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