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(役者は揃ったな)

俺は小さく息を吐くと《乃愛》を見詰めた。《乃愛》は麗菓や花耶と何やら話をしていたが、視線に気付くとあとを麗亜に任せて此方に近付く。

「…此処からどうするんだ」

「もう暫く様子を見て、そしてタイミングを見計らったら……」

これで、着物の袖から木箱を取り出し中を見せる《乃愛》。その箱はこっちに来る前杏から見せられたものと酷似していた。

「杏さんの擬似光彩用の箱に似てるけど、これはそれ以上の特殊加工になってるの」

俺の考えていたことをすぐに言い当てる《乃愛》、彼女は楽しそうに談笑する少女達を見遣ると小さく息を吐く。

「あの子達がある程度打ち解けたら内蓋を開ける。………中身は強力な催眠ガスよ。それこそ意識が飛ぶぐらいの」

(…なるほど、麗亜達がそれぞれの情報を得るまで待つという訳か)

《乃愛》の言葉に頷くと、俺は少女達を見詰めた。


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