麗奈はきょとんとした顔でわたしの隣に座る少女を見ると、女性と顔を見合わせます。

「…随分と、遅かったな《乃愛》に麗亜」

静まり返る中、声を上げた奈央さんは皮肉めいた口調で告げます。

女性と麗奈は奈央さんの方を向くと

「…初めての母娘水入らずだもの。積もる話があって当然でしょう?」

「えへへ、おかあさんと沢山お話出来て嬉かったよ!」

「おかあさん」麗奈は言うと女性の首筋にしがみつきます。女性もしっかり麗奈を抱き締めるとそろそろ降りるように麗奈を促しました。

「麗菓さんもいたんだねっ」

女性から降りた麗奈は真っ直ぐ此方に駆け寄って来ます。そのままタックルされ思わず後ろに倒れました。

「……麗奈…貴女…」

強く、強く抱き締められ、わたしは漸く会えたという実感と、今まで何処にいたのかという不安に苛まれます。そんなわたしの心を読んだのか、麗奈は花のように微笑み

「あのね、ボクおかあさんに会えたんだ」

そう言って麗奈は先程の女性を示します。すると女性は優雅に一礼して此方に向かって来ました。

「初めまして、麗菓さん。………やっぱり、貴女も翡翠の持ち主なのね」

そう言いながらわたしが起き上がるのを手伝う女性。……何故でしょう、初めて会ったはずなのに昔からの知り合いのような気がします。

「そして、此方にいるのが花耶ちゃんね」

突然名前を言われ驚いたのか、花耶さんはぴくりと肩を震わせます。

「…どうして、わたしの名前…」

ふと向かいに座る男性を見ると、彼はなにかを考えるように俯いていました。


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