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目覚めるとそこは見たことのない場処でした。

どのぐらい眠っていたのでしょうか、辺りは既に暗く自分が立っているのか座っているのかも判断が付きません。

「…取り敢えず、杏さん達を探さないと…」

ふと違和感を覚え振り返ると、見知らぬ人が此方を見て立っているのが分かりました。

「…」

その人影はまるで死んでいるかのように微動だにせず、静かに此方を見詰めます。

「…だ、誰ですか…?」

父と暮らす内に癖になってしまった口調で問うと、はっと顔を上げる人影。暗闇の中で奇妙に浮かぶ人影に怖れや畏怖の念を感じました。

「あの…っ」

「…誰…?」

わたしと人影の声が同時に響き、再び沈黙が訪れました。


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