それからどのぐらいの時間が経ったのでしょう、小さな音で、我に帰りました。
「…麗菓さん…?」
私の変事に気付いたのでしょう、麗奈は不安そうに私を呼び…
「………やぁ、仔猫ちゃん達」
わたしが麗奈の無事を確認するより先に、その声が響きました。
「誰…?!」
突然響いた謎の声に対し、麗奈は震えた声をあげます。
「…ふふ…、こんな夜中に二匹の仔猫ちゃんが何をしてるのかな…?」
声は段々と私達に近付き、やがて段ボールが見えるギリギリのところで止まりました。
「…もしかして、家出とか?」
私は、その言葉に目を見開きました。
ですが此方からは、相手のシルエットが薄ぼんやりと見えるだけで、男なのか女なのかわかりません。
「…」
麗奈は怯えたように震え、此方と相手とに視線を行ったり来たりさせています。
その麗奈の反応をどう取ったのか、謎の人物は更に数歩わたし達に近付き、そのシルエットの全てをあらわにしました。
「…っ」
あらわになった人物を見て、私は声を失いました。

