はらはらと雪が降る中、わたし達は互いの身の上について語りました。

「ボクを育ててくれたおばあさんね、昔は看護師さんだったんだって」

麗奈は口元を少し綻ばせながら、自分の境遇を語ります。

その話はとても新鮮で、わたしは夢中になって聞いていました。

「…この服もね、そのおばあさんがくれたものなんだ…」

自分のボロボロになった服の裾を愛おしそうに掴む麗奈は悲哀に満ちていて、わたしは彼女を守りたい衝動に駆られます。

「…そのおばあさんは、今…?」

「……何日か前に、強面のお巡りさんに連れて行かれたよ…」

何かを噛み殺すように言われ、わたしはまた酷いことを聞いてしまったと思いました。

「…でも。でもね、ボク寂しくないよ」

今にも泣き出しそうな横顔に、わたしはなにもすることが出来ません。

なにも出来ない自分を情けなく感じ、ただ優しく、麗奈を抱き寄せました。

「れ、麗菓…さん?」

突然抱き寄せられ驚いたのか、麗奈は元から大きい目を更に大きくし此方を見上げます。

「寒いから…。……いけませんか?」

言い訳のような弁解に、彼女は目を丸くしつつも頷いてくれました。