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はらはらと、一片の雪が降る、空気をも凍る、そんな夜でした。

「…寒い…」

ほぅ、と白い息を吐き冷えた体を擦り、何処と無く虚空を見上げました。

「……今日は、眠れなさそう…」

小さく言った言葉は、冷気に包まれて消えていきます。

ボクは布団の代わりに使っている段ボールにくるまり、舗装のされていない畦道に横になりました。

(……ボクは、いつになったらこの生活から解放されるんだろう)

考えても仕方のないことを考えてしまうのは、ボクの悪い癖です。

「…寝よう」

呟き、段ボールをすっぽりと被ります。

「おやすみ」

誰に言う訳ではなく呟き、静かに目を閉じました。






−−−−ザクッ−−−−






不意に、誰かの足音が聞こえました。




−−−−ザク、ザク−−−−




その足音は、どんどんボクの方に近付いています。

(誰…!?)

ボクのいる、この橋の下は人は滅多に近付かない場処です。


−−−−サクッ−−−−


やがて足音は、ボクの真正面で止まりました。

「……」