その日はいつも以上に空兄の機嫌がいい
し、ご飯も美味しいし、俺たちも嬉しい
。
あ、もちろん、空兄のご飯も美味しいけ
ど!
「澪」
不意に、澪さんを呼ぶ声がして、二人で
そちらを向くと、空兄が立っていた。
「あ、向坂君」
「澪、来い」
空兄は、澪さんが抱き上げていた弟を降
ろすと、そのまま澪さんの腕を引っ張っ
て、二階へと消えていった。
「え、さ、向坂君??」
「うるせぇ、黙れ」
……わぁ。
空兄ってば、そんな怖い言い方……。
ちょっと苦笑いしながら、置いてきぼり
にされて、不貞腐れる弟たちの相手をし
てやろうと、弟たちを見下ろした。
「なんかして遊ぶ?」
「遊ぶーっ!お絵かきしたい!」


