心なしか、翼の視線もだんだんと冷たく
なっていき。
押し退けられるその瞬間に、逆に押し退
けてやろう、と企んでいると───。
「……隣、失礼」
短くボソッとそう言った北野は、なんと
俺の隣に座った。
「……え？」
思わずすっとんきょうな声を出して、首
を傾げてしまう。
あれ。今までにない行動パターンだぞ？
どういうことだ、と目をぱちくりさせて
いると、音夜がクスッと笑った。
「あれ。素直になることにしたの？北野
」
優しく、だけど意地悪そうな笑みを浮か
べ、頬杖をつきながら北野にそう言う音
夜。
そんな音夜に、北野は不本意そうに眉を
しかめた。
