だけど違う。

お前のファーストキスは五才だよ。……
俺が、奪ったからな。



それは、蒸し暑い夏の夜の事だった。



「じゃあ光弥君も恋那も、もうお休みし
ないとね~っ」



そう言いながら小さな俺達の背中を押し
て、寝室に誘導するこの人は、恋那のお
母さん。



今日は俺の両親が仕事で家に居ないから
、椎名家に預けられたという経緯だ。



それもよくある話で、もう慣れちゃって
た。最早ここは、俺の第二の家、みたい
な存在だったんだ。



「光弥君、一緒にねよ~」



ニコニコ笑いながら、布団に潜り込む恋
那。



俺も無言で頷きながら、布団に潜り込む




あったかい温もりの中、すぐに隣からは
寝息が聞こえてきた。