ピッという鋭い音と共に 引き裂かれた皮膚から 流れ落ちるのは見とれるほどに 美しくて痛々しい、赤。 その衝撃と恐怖から、 私はその場で崩れ落ちた。 「おかあ……さん…」 今朝まであんなに幸せそうだったお母さ んは、今では痛みに震えている。 お母さんの頬から 滴り落ちる血が小さく水溜まりを作る。 それが目に焼き付いて 全く離れてくれなくて。 逃げてしまいたいのか 助けてあげたいのか。