俺はクスッと少し笑ってから、そのまま
委員長の手を引いた。
委員長も最初の内は、俺に手を引かれる
ままついてきていたけど、やがてその顔
に困惑の色を浮かべた。
「ちょっと香坂……。こっち、校門じゃ
ないけど……」
そりゃそうだ。
だって俺は校門になんて向かってねぇん
だから。
まだ、やり残した事が一つある。
やがて中庭につくと、俺は委員長の手を
離した。
委員長が、戸惑うような視線を送ってく
る。
そんな委員長の困った顔も、そそるんだ
けどね。
「なんで中庭になんか……」
「まだやり残した事があるからだよ」
「……やり残した事?」


