「──希美」
──その日の放課後。
俺が委員長の傍に近づいて、委員長の事
をそう呼ぶと、委員長が俺を見つめたま
ま固まった。
……そんなあからさまに驚愕しなくても
。
「希美」
「……えっ!?なになになに!?」
大袈裟に慌てながら、キョロキョロと辺
りを見回す委員長。
……もう、呼んでるこっちが恥ずかしい
んですけど。
名前で呼ぶだけなのにこんなに照れるな
んて、ほんと俺、どうしたんだよ。
女の子を名前で呼ぶのなんて、前の俺な
ら普通だったのに。
「なにキョロキョロしてんの」
「え、どこかにカメラでも仕掛けられて
るのかと思って」
ドッキリじゃないんだから、そんなのあ
るわけ無いでしょ。


