「えええ!?皐君に嘘!?」
……絶対すぐバレちゃう気がする……。
すると、律希ちゃんはいい事教えてあげる、と言って。
「皐君なんか嫌い!って言ってみなよ、あいつ、絶対すごい面白い顔するから」
と満面の笑みで言ったんだ。
無理だよ!という私に、大丈夫、去年の私達みたいな事にはならないから、と笑う律希ちゃん。
……そういう問題じゃないのに。
でも律希ちゃんの言う、面白い顔、というのが気になってしまって、皐君に「嫌い」と言ってみた結果が。
「……へえ?杏子、俺の事嫌いなんだ?」
これだ。──そして今に至る、と。
皐君は真っ黒な笑顔のまま、ジリジリとにじり寄ってきて。私は顔を真っ青にして、ぶんぶんと首を左右に振り続けた。
「違っ……!嫌いじゃない……!」
「今、嫌いって言ったじゃん」


