いい加減、澪不足なんだけど、なんて思
っていると、不意にクラスの奴が驚いた
声をあげた。
「おい、向坂それ……っ!」
「あ?」
自分の名前を焦ったように呼ばれてそい
つの方を向くと、何故かそいつは俺の手
を見て困惑してた。
「手、すっげー腫れてんじゃん!」
「ああ……」
まああんだけ力任せに打ってたら、そり
ゃ手も痛めるだろうけど。
「別にこんくらい──……」
こんくらい、どうってことない。と言お
うとして、俺は言葉を止めた。
待てよ?これを口実に、澪を連れ出せる
んじゃねーの?
「……やっぱり一応、診てもらって来る
わ」
「おーそうしとけ!」
「後片付けとかは俺らでやっとくから」


