昼休みは、再び屋上を使うようになった。

誰が言い出したかはわからないけれど、また自然に人が集まり始め、1年の時のようなメンバーになった。
あとそれに淳が加わった。

日野が男子として名前を再登録してからというもの、メンバーは風野の紅一点となり、なんか全体的にむさ苦しい。

「お前ら、食事の時くらいいちゃつくのやめろよ」

俺が言うと、計3組がぴたりと動きを止めた。

互いに箸でおかずを食べさせ合っていた井上と浅井が、不満そうに俺を睨んで来る。

――いや、だってこれ絶対絵面的におかしいって!!

心の中でツッコミながらも木山兄弟へと視線を動かす。

彼等は何故か1本のポッキーを両端から咥え、ポッキーゲームに白熱していた。

「それは明らかに男同士でやることじゃねぇだろ!!」

俺が怒鳴ると、ポッキーを噛んで口を離した木山が迷惑そうに眉を顰める。

「じゃあ梶の可愛い彼女さんとやっていいの?」

そう言いながら風野へと木山が手を伸ばそうとしたので、慌ててその手を軽く叩いた。

「うわ、いった…」

木山は大袈裟にそう言い、近くにいた日野にすり寄っていく。

「冷たい奴だな、梶。
何も叩くことはないだろ」

日野に真顔で言われ、何だか俺が悪いことをしたみたいな空気になっている。

隣りに座っていた風野だけが笑いながら「大丈夫だよ梶君」と声をかけてくれたものの、大丈夫って空気じゃない。



「ホモと言えばさ、1年の川北と大森ってデキてるらしいじゃん」

俺が言うと、浅井が「マジ!?」と食い付いて来た。

「いや、嘘」

すぐに言うと、井上がじとりと湿った目で此方を睨んでくる。

「お前今日の部活であの2人に土下座しろよ!!」

浅井に言われ、「え、何で」と返すと井上に加え木山からも湿った視線を送られてしまった。

「最近薄々と気付いて来たんだけどさ、梶って反省の意味を知らないと思うんだよね」

木山の言葉に風野まで頷く。

「梶君、優しいけど基本そういう人だから」

風野の言葉に日野や浅井まで深く頷き始める。

やっぱりこれって俺を攻撃する空気じゃね?

俺は表情を引きつらせながら木山をもう1度見る。

「木山、お前はもう少し俺に色々と感謝した方が良いと思うんだけど…」

そう言ってやると、木山は顔を思い切り顰めたまま「何が?」と答えた。



もういっそ此所から飛び降りてやろうか!!

と怒鳴りそうになったのは内緒だ。