『ねぇお二人さん』 「ん?」 「なに?」 前を歩いていた二人は、私の呼びかけにほぼ同時に振り返って首をかしげた。 『今の年号って何?』 「は?年号?」 藤堂さんは、眉を顰めて訳が分からないって顔をした。 年号も知らないって。大丈夫なのあんた?って思っているのでしょう。わかります。 でも、これが私の中での最後のあがきなんですよ。 これで《平成》って言われなかったら覚悟決めてここで生きます。