『沖田さんから聞きました。組長は、人を手にかける場面が平隊士より多いそうですね』
「あぁ……。俺たち幹部は戦があれば率先して前に行かなくちゃいけねぇ……」
肯定の意を示したように、土方さんは頷いた。
その顔の眉間には皺が深く刻まれていて、険しい表情へ変っていた。
「平隊士を引っ張るのは、幹部の役目だからな」
鋭い眼光に射抜かれた私は逃げ出したくなるような恐ろしさを感じた。
これが、新撰組副長のオーラ……。
これは泣く子も黙る。
それでも、言わなきゃいけない場面では言わなきゃいけない、自分の気持ちを。
それが、今だ。


