綿菓子と唐辛子



暑くて、煮えそうだ。ジリジリする。


近づいてきたヒメと仕方なく教室に入って、自分たちの席まで来た。

椅子には座らずに、ヒメはたったまま、俺は机に軽く腰掛けた状態で向き合う。


…身長差が、少し無くなった。それでも、やっぱりヒメは小さいと思う。


「…ナツ、この間はごめんね」

「…」


ヒメがポツリと呟く。

この間とは、きっと告白のことだろう。そんなことは簡単に想像出来る。あの日、ヒメに言われたことを思い出す。

少しだけ、胸がくるしくなった。


「…いいよ、ヒメが謝ることじゃない」

「……ナツ、」

「俺こそ、許可なく、だ…抱きしめたりして、ごめん………」


恥ずかしくて、下を向いた。

ううん、と言って首を横に振るヒメは、夕日に照らされて、顔がオレンジ色に染まっている。