綿菓子と唐辛子



…ちがう。

これは、南の声じゃない。南は、こんな話し方はしない。


「…っ、あ………」


どうしよう、前が向けない。

教室に差し込む夕日が、眩しすぎて。


「……ナツ、ごめんな」

「…っ!」


どうしよう、なんで。

え、なんで、だって、俺

さっき、南からメールをもらって…。

   

「…っ、な、んで…」

「…ナツ、話したい。教室、入ってきて」

「…!」

 
…なんで、なんで、どうして。どうして、ヒメがいるんだろう。


俺の前に、


「……ヒメ…」



どうして。