綿菓子と唐辛子



フイッと俺から視線を逸らしたヒメは、そのまま席に戻った。

俺が苦労して持ってきた辞書は、力を失ったようにシナシナとしているように見えた。


…な、なんでこんな元気ないんだ、今日…。

いつもは、「わぁー!すごいな、南!」なんて言いそうなのに…。


あっけに、とられてしまった。




「…ヒメ?」

「…」


「なんか、怒ってる……?」

「…別に」

「……」



お ま え は 沢 尻 エ ○ カ か よ !



なんだよ『別に』って!

うーわ、完全に怒ってる。完全に不機嫌になってる。


オーラが怖い。新学期早々のはんにゃの怖さなんかとうに越してるんじゃないかってくらい、怖い。

身体中から負のオーラというか、怒っていますという空気がダダ漏れだ。